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現状と更新後の概要
現状(更新前)のネットワーク構成図はこんな感じです。
サーバー群としているのはRaspberry Pi 3/4、Orange Pi 5で、NASはReadyNAS RN104です。ようやく2.5GbEが普及期に入ったのと、無線LANもWi-Fi 7が出始めたところでWi-Fi 6にすると理論値の上限が2.4Gbpsだったりするので、無線LANの普段遣いで実際にどのくらいまで高速化するかはともかく、1Gbpsだと手狭になりそうかなというところがあり、更新することに。
変更後のネットワーク接続図はこんな感じにします。
変更点は具体的に以下の通り
- スイッチングハブを2.5GbE対応のものを追加
- NASを2.5GbE対応のものに交換(とりあえず追加)
- 別室で無線LANで接続していたものをとりあえず有線LANに変える(全録りレコーダーを有線LANにすることで長時間無線LANのトラフィックを専有するのを抑えたかった)
- (直接は関係ないがWi-Fi APもLAN側を2.5GbEにできるものに変えたので、無線LAN<->NAS間の通信速度も理論上の上限値は上がる)
解消が期待されるボトルネック
諸々の通信速度
PC/スマホ/タブレット/SBCで関係ありそうな諸々の通信速度(理論値)は並べるとこんな感じになります。
- 866Mbps IEEE802.11ac(2x2) 80MHz
- 1Gbps 1GbE
- 1201Mbps IEEE802.11ax(2x2) 80MHz
- 2402Mbps IEEE802.11ax(2x2) 160MHz
- 2.5Gbps 2.5GbE
- 4.8Gbps(600MBps) SATAⅢ
- 5Gbps USB3.0 USB3.1 Gen1
- 5Gbps 5GbE
- 9.6Gbps IEEE802.11ax 6GHz帯(Wi-Fi 6E)
- 10Gbps USB3.1 Gen2
- 10Gbps 10GbE
- 20Gbps USB3.2 Gen2x2
- 20Gbps USB4 シングルレーン
- 20Gbps Thunderbolt2
- 20Gbps 20GbE
- 32Gbps PCI-Express(NVMe) 3.0 x4片方向
- 36Gbps IEEE802.11be(Wi-Fi 7)
- 40Gbps USB4 デュアルレーン
- 40Gbps Thunderbold3
- 40Gbps 40GbE
- 64Gbps PCI-Express(NVMe) 4.0 x4片方向
はい。PCの外部接続から内部インタフェースまで含めるとこうなります。壮観ですね。
1GbEから2.5GbEに更新することで(理論値上は)解消されるボトルネックは以下のとおりです。
- IEEE802.11ax(2x2)
- SATAⅢ
- USB3.0
身近なところが速くなる見込みです。
NASのSATA接続HDDはどこに入るのか
ここで、SATAⅢ接続のストレージの理論値は600MBpsですが、実際の速度はどのくらいなのかというのが頭をもたげてきます。
PCのストレージをHDDからSSDに交換すると体感速度が大幅に向上しますが、SATA接続のSSDは理論値の9割まで速度が出ます。↓のエントリの交換前がSATA接続のSSDです。
Windows11移行へ向けて購入した富士通 S938/SをCPU以外一線級のPCとして使えるようにする
問題はSSDよりも低速なHDDのアクセススピードで、7200rpmのHDDがおおよそ220MBpsであるという記事がありました。
速い方のHDDであれば220MBpsで1760Mbpsとなるので、2.5GbEまでは高速化する恩恵が得られるという結論に達しました。逆に言うと、5GbEや10GbE環境でHDDを使うのは意味がないということになります。怖い時代になりました。
具体的に2.5GbEに対応する為に更新したもの
2.5GbEに対応できるNAS
ここ数年で2.5GbEの有線LANポートを搭載したNASは発売されていますが、今回はQNAPのTS-473(のOEM)にPCI-Express接続の10GbEカードを増設することで対応することにしました。
2.5GbE対応の他に、NAS自体を強くして色々できるようにしたかったので今回は時間をかけて選んでいます。QNAPのNASは専業NASメーカーなのにモデル数が多く選び方が難しいので、どういう基準で選べばいいのか別途記事を書く予定です。
2.5GbEに対応できるWiFiルーター
これまで使っていたWiFIルーターはAirStation WSR-1500AX2Sでスペック上はIEEE802.11ax(2x2)だったものの、ローエンドモデルだからか複数台から同時に使うとたまに落ちる(2〜3分後に復帰)するという有様だったので、有線LANポートを2.5GbE対応させる目的も達成できるNECのAterm WX3600HPに更新しました。
このルーターはWAN側ポートが2.5GbEですが、設定によりWANポートとLAN1ポートをスワップすることでLAN側に2.5GbEを向けることができるので、これを利用して無線LAN接続のデバイスと有線LANの2.5GbEの間の高速化を実現します。
Aterm WX3600HP:仕様 | 製品一覧 | AtermStation
で、これに変えた結果、目に見えてはっきり無線LANの接続が速くなったので、BuffaloのローエンドのWiFiルーターは選んではいけないものなんだなという教訓を得ました。(2.5GbE無関係)
2.5GbEに対応できるスイッチングハブ
いわゆる「八丁スイッチ」と言われるXikeStorのスイッチングハブが有名ですが、2.5GbEのハブは電源を内蔵していない(ACアダプターをセットにして管理しないといけない)ものが多いので、電源内臓のものを選んだら結果的にFOXNEOのPoE対応の4ポートハブFNS-1200Pに更新しました。
2.5GbpsにSFP+、PoEも付いて脅威の実売6980円! 話題の爆安スイッチに落とし穴はないか、実際に買って試してみた【イニシャルB】 - INTERNET Watch
今後のネットワーク更新について
無線LANが数年おきに高速化していくことは凄いのは間違いないんですが、そもそも電波を送信することは電気を消費することなので、高速化は発振周波数の増加(2.4GHz→5.2GHz→6GHz)や帯域幅の増加(20MHz幅→40MHz幅→80MHz幅→160MHz幅→320MHz幅)で実現している現状では消費電力の増加が止まりません。何らかのブレイクスルーが実用化されればこの流れが変わる可能性がありますが、個人的には固定デバイスについては今後も有線LANを使い続ける予定です。
今回更新した機器以外でOrange Pi 5やRaspberry Pi 3/4は2.5GbEに対応していないので対象外になっています。なんですが、RK3588を積んでいるOrange Pi 5 PlusやOrange Pi 5 Maxは2.5GbEポートを搭載しており、こっちを買っとけばこのタイミングで2.5GbE対応できていたことを考えるとタイミングを逸した感が少しだけあります。後悔はしてないんですが。
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