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無料で利用できてLinux用にもリリースしているとてもありがたい動画編集ソフトのDaVinci Resolveですが、GPUを検出できないと使用できないこととUbuntuの場合追加手順が必要なこと。特に日本語の情報が少ないので、執筆時点での対応方法をまとめます。
確認した環境はUbuntu 24.04 LTSとUbuntu 24.10で、いずれもIntelの内蔵GPUを搭載したノートPCです。
Intelの(内蔵)GPUをUbuntuで使う場合に必要な手順
「未対応のGPU処理モード」という見慣れないエラーメッセージが表示されて、手元のUbuntuではDaVinci Resolveが使えないのではないかと思ってしまいそうですが、そんなPCでもWindows上ではDaVinci Resolveが動いたりするので動かないのがハードウェアだけのせいではなさそうという推測ができて、
こちらの手順を踏めば動くようにはなるんです。でも、別のPCで動かそうとするとやっぱり動かなかったりする。ちょっと面倒なつまづき方をするのがDaVinci Resolveなのですが、それには理由があるので、手を動かしながらわかったことをまとめていきます。
必要なもの
- Intelの配布するドライバー
- Intel Compute Runtime https://github.com/intel/compute-runtime/releases
- Intel Graphics Compiler/IGC https://github.com/intel/intel-graphics-compiler/releases
ドライバーのインストール
Compute RuntimeはGraphics Compilerに依存していて、対応したバージョンをインストールする必要があります。また、IntelのGPUはCompute Runtimeに依存していて、2024年9月に古めのプラットフォームはComputer Runtimeの最新バージョンではなくlegacyに分けられ、クリティカルな問題のみ修正されるようになりました。
compute-runtime/LEGACY_PLATFORMS.md at master · intel/compute-runtime · GitHub
ということで、Compute Runtimeの24.35以降はPCに合わせて必要なドライバーが変わります。
Legacyドライバーに対応するプラットフォーム→24.35のLegacyドライバーをダウンロード
- Broadwell(第5世代Core)
- Skylake(第6世代Core)
- Kaby Lake(第7世代Core)
- Coffee Lake(第8-9世代Core)
- Apollo Lake
- Gemini Lake
- Ice Lake
- Elkhart Lake
最新ドライバーに対応するプラットフォーム→最新のドライバーをダウンロード
- DG1
- Alchemist
- Tiger Lake(第11世代Core)
- Rocket Lake(第11世代Core)
- Alder Lake(第12世代Core)
- Meteor Lake(第14世代Core/1世代Core Ultra)
- Raptor Lake(第13世代Core)
- Lunar Lake(2世代Core Ultra)
今回はSkylakeとCoffee Lakeで確認したので、どちらもLegacyドライバーをダウンロードすることになりました。
24.35系列の最新は現時点では24.35.30872.22なので、以下のURLへアクセスします。
Release 24.35.30872.22 · intel/compute-runtime · GitHub
ダウンロードするファイルは以下です。
- intel-level-zero-gpu-legacy1_1.3.30872.22_amd64.deb
- intel-opencl-icd-legacy1_24.35.30872.22_amd64.deb
- libigdgmm12_22.5.0_amd64.deb
また、24.35に対応するGraphics CompilerはReleasesのページに記載のある通り1.0.17537.20なので、以下のURLにアクセスします。(debファイルの依存バージョンが固定されているので、1.0.17537.20以外のバージョンはインストールできません)
Release igc-1.0.17537.20 · intel/intel-graphics-compiler · GitHub
ダウンロードするファイルは以下です。
- intel-igc-core_1.0.17537.20_amd64.deb
- intel-igc-opencl_1.0.17537.20_amd64.deb
これらのファイルをインストールします。Releasesの手順ではdpkg -i
でインストールすることになっていますが、他に依存パッケージがあったり不足ファイルがあるとインストールに失敗してもインストールされたことになってしまうので、個人的にはapt
でインストールしています。
$ sudo apt install ./intel-level-zero-gpu-legacy1_1.3.30872.22_amd64.deb ./intel-opencl-icd-legacy1_24.35.30872.22_amd64.deb ./libigdgmm12_22.5.0_amd64.deb ./intel-igc-core_1.0.17537.20_amd64.deb ./intel-igc-opencl_1.0.17537.20_amd64.deb
インストールが問題なく終わると「未対応のGPU処理モード」ダイアログは表示されずに、設定からも内蔵GPUが識別されていることが確認できます。
【付録】DaVinci Resolveをdebパッケージで管理する
Debian系ディストロの場合、ソフトウェアは可能ならdebパッケージで管理したいものです。(特に更新が楽なので)
DaVinci Resolveが提供するインストーラーをdebパッケージに変換するスクリプトを公開している人がいるので、これを使用してdebパッケージを作ります。
Daniel Tufvesson | MakeResolveDeb
必要なもの
- DaVinci ResolveのLinux用インストーラー(DaVinci_Resolve_18.5_Linux.zip等のzipファイル)
- makeresolvedeb_1.7.3_multi.sh.tar.gz
debパッケージ生成
DaVinci Resolveのインストーラーのzipファイルを展開するとDaVinci_Resolve_18.5_Linux.run
のように拡張子がrunのファイルが出てくるので、makeresolvdebを解凍してできたmakeresolvedeb_1.7.3_multi.sh
の引数にrunファイルを指定して実行します。
$ ./makeresolvedeb_1.7.3_multi.sh DaVinci_Resolve_18.5_Linux.run
もの凄く時間がかかるので、雑用を済ませながら待つとdavinci-resolve_18.5-mrd1.7.3_amd64.deb
が生成されます。これをaptコマンドでインストールします。
$ sudo apt install ./davinci-resolve_19.0.1-mrd1.7.3_amd64.deb
以上です。
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