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Raspberry Pi 4の8GBモデルを購入
SBC/Single Board ComputerというジャンルでのマーケットリーダーであるRaspberry Pi 4(以降、RPi4と記載)は予てから購入したかったものの1つです。
Raspberry Pi 4発売を祝してこれまでの歴史と展望
そんなRPi4に今年RAMが8GBのモデルが追加されました。類似するスペックのSoCであるRK3399を使用するSBCについては現時点でRAMを8GB積んだモデルはありません。
RPi4(BCM2711)にできてRK3399に8GB RAMを搭載できない理由はなさそう1に思いましたが、もしかしてと思ってデータシートを見てみた結果、RK3399はRAMの上限が4GBとなっていました。
https://datasheetspdf.com/pdf/1144560/Rockchip/RK3399/1
PDFの9ページに以下の記載があります。
Support up to 2 ranks (chip selects) for each channel; totally 4GB(max) address space. Maximum address space of one rank in a channel is also 4GB, which is software-configurable
ということで、今でも新製品が発表されるRockchipのRK3399を積んだSBCではRAM8GBの製品は出ない2と考えて、気持ちが一気にRPi4に傾き始めました。
Raspberry Pi 4用のケースであるArgon Oneを購入
Raspberry Piは4Bで実用性が一気に上がったことと引き換えに、発熱が大幅に増えており、運用にあたっては排熱効率の高いケースを使う必要があります。
Amazonを眺めてみても巨大ヒートシンクをSoCに直接当てることで排熱を効率を高めるケースもありますが、Argon40というメーカーのケースに興味がありました。
Argon40 Argon ONE Raspberry Pi 4 Case Raspberry Pi Portal in Asia
今回Argon Oneを買うことにした決め手は以下の通りです。
- 元々Argon40はRaspberry Pi 3用のケースをクラウドファンディングに出していた事を知って、電源スイッチを搭載、回転数を変えられるファンを搭載したケースとして評価が高い
- Raspberry財団が公開しているMagPiというWebマガジンのRPi4用ケースの比較記事での評価も高い
- 全ての接続端子をライザーカードを使って1面に集められる
クラウドファンディングに出していたRPi3用のケースはこちら
ARGON One: The Most Versatile Raspberry Pi Mini Computer by Argon Forty — Kickstarter
Raspberry財団の発行するRPi4用ケースの比較記事はこちら
Argon40のその他のRPi4用ケース
今回購入したのはRPi4用のケースの初期モデルになりますが、Argon40は他にもRPi4用ケースを作っています。比較検討したものを紹介します。
Argon40 Argon NEO Raspberry Pi 4 Case Raspberry Pi Portal in Asia
スタンダードな長方形のケースです。Argon Oneと違う点は電源ボタンがないこと、冷却にファンを使わずにケースに熱を逃がす構造になっていること、USB Type-C端子/MicroHDMI端子/3.5mm端子が側面に出ているところです。
Argon40 Argon ONE M.2 Case for Raspberry Pi 4 Raspberry Pi Portal in Asia
Argon Oneとの変更点は以下の通りです。
- ケースの下部がM.2スロット(Key-B or Key-B&M)搭載スペースに変更されている
- ライザーカードで引っ張っているMicroHDMI端子がフルサイズのHDMI端子に変換されている(モニターに出力して使う場合にはこちらの方が断然オススメ)
- 赤外線受光部がある
RPi4は映像出力端子がMicroHDMIに変更されたこともあり、キーボードとマウスを繋いでパソコンとして使う場合にMicroHDMI-HDMIケーブルが必要になりました。このケースを使えばフルサイズのHDMI端子に接続できるので、変換を考慮することなくそのへんのHDMIケーブルで出力できます。
M.2スロットはNVMeではなくSATAのSSD対応となっているので注意が必要です。お値段はArgon One初期モデルと比較して$20上がりますが、M.2スロットとフルサイズHDMI端子変換があるので十分に納得できる差額だと思います。今回はRPi4をサーバー用途で運用する予定なので選びませんでした。
Argon40 Nanosound ONE Case (Raspberry Pi 4 not Included) Raspberry Pi Portal in Asia
オーディオ向けにHi-Fi DACを搭載したケースです。出力端子がRCA端子になっていて、オーディオシステムに簡単に組み込めるとされています。Hi-Fi DACのチップは記載がないので、何が使われているのかは不明です。お値段は$55アップ。
AliExpressで購入、$109.05(11558円)のお買い物。届くまで22日。
RPi4は日本でも扱っているショップが多く、割とどこでも入手は可能です。また、RPi用4のArgon Oneは初期モデルのみ千石電商でも購入することができます。
総じてこういった日本で流通の少ないものの入手経路とメリット・デメリットは以下のようになります。
- 日本のAmazon
- 値段がべらぼうに高い
- Amazon発送になっている場合は割とすぐに届くことが期待できる
- 日本の販売店
- 値段は定価(海外定価の為替レート+α)
- 通販の場合でも配送が速い
- 新商品は基本的にない(=買えない)
- 海外のAmazon
- 日本に発送してくれるところだと、かなり確実に届く
- 値段もぼったくりではない場合が多い
- 輸入するので、実際にものが届くまでの間に時間がかかるのと税関を通るのに時間がかかる場合がある
- メーカーサイト
- 在庫が一番正確
- 日本に配送してくれる場合がある
- セール中とかでない場合は値引きなし
- 輸入するので時間がかかる
- AliExpress
- 在庫がある場合、届く確実性が高い
- 日本に送ってくれる場合がほとんど
- たまにセールしていると定価よりも安く売ることが多い
- コロナ禍にあっては輸入にめちゃくちゃ時間がかかる
ということで、今回AliExpressで輸入しました。購入日は2020/11/28、購入金額は$109.05です。送料は今回は無料でした。
ちなみに参考まで、千石電商の通販で購入すると13140円です。(1万円以上のため、送料無料)
それではAliExpressの精算金額を確かめましょう。支払いはクレジットカード(楽天カード、 Master)です。
ざっくり2%増し。香港ドルでの買い物をクレジットカードで切った場合の支払額
内訳は以下の通り。
- 外貨取扱手数料 1.63%
- 2020/11/28の両替レートは105.989927
- 決済金額は$109.05
ということで、千石電商で買う場合と比較して1582円安く上がりました。定価より安く買えるのが大きいですね。
他方、届くまでの日数は特にコロナ禍に入ってからはひたすら遅いです。今回はリチウムイオン電池のような空輸に制限のあるものがないので、通常なら空輸されるんでしょうがひたすら時間がかかっていたことを考えると恐らく船便です。
- 2020/12/03 鄭州市で集荷
- 2020/12/07 鄭州市から国外発送
- 2020/12/16 川崎市に到着
- 2020/12/17 川崎市の輸入窓口に到着
- 2020/12/18 通関
- 2020/12/19 到着
鄭州市を出るまでに4日、そこから川崎に着くまでに9日かかっていました。トラッキングナンバーが付与されてからは割とやきもきするので、経過が何もない日は結構堪えます。国内で購入できればこんなに待つことはないので、そういった意味では国内で買ってもそこまで割高ではないです。
開梱の儀
最近はこれで来ることが非常に多い、外が白で中が黒、粘着テープで口が閉じられた袋に入れられて届きました。
中身は何の記載もない段ボール箱です。NanoPi M4V2の時の様に中身が心配になる凹みはありませんでした。
NanoPi M4V2(FriendlyARM)がChina Postの長い旅を経てようやく到着。外観をレビューします。
内容物
内容物は注文通りのRaspberry Pi 4(RAM 8GB)、Argon40のArgon Oneです。RPi4はelement14製でした。
技適確認
AliExpressでの購入時、element14製のRPi4であることは知らなかったので、技適がないものが送られてきて合法運用するなら無線LANとBluetoothは無効にするように気をつける必要がある覚悟をしていましたが、その心配もなさそうです。
RPi4の外箱の裏面です。バーコードの上にTELECのマークと技術基準適合証明番号が記載されています。
RPi4の裏面にも同様にTELECマークと技術基準適合証明番号が記載されています。
記載されている技術基準適合証明番号は007-AH0184で、(株)UL Japanが申請しています。
【技適の見方】Rakuten Miniの技適情報をチェックする【これは悪辣なやり方】
- 第2条第19号に規定する特定無線設備
- 第2条第19号の3に規定する特定無線設備
- 第2条第19号の3の2に規定する特定無線設備
ケース組み立て
Argon OneにRPi4を入れます。Argon Oneの内容物はこんな感じで、ファンとヒートシンクは最初からケースの蓋部分に付いていて外れない構造になっています。左の袋にライザーボード、ビス、熱伝導シート、ゴム足が入っています。
ライザーボードとRPi4を合体します。かなり固くガッチリ奥まで差し込む必要があるので、MicroHDMI端子が折れないように慎重に差し込みます。ヒートシンクに熱伝導シートを付けます。
RPiとライザーボードを合体したら、RPi4のGPIOとケース蓋のGPIOを慎重に差し込みます。割と二度と分解したくないレベルのギチギチ具合で、ライザーボードをちゃんと差し込んでないときちんとケースに収まりません。
ケースの下部を取り付けると正面はこんな感じです。ケースの下部と合体するとツライチに見えますが、実はちょっとだけ下部の方が大きくて厳密にはツライチにはなりません。やや残念。
ケースの裏面はこうなります。端子類は全部こっち側にでるので、このケースの利点である電源等を側面から出す必要がありません。なお、MicroSD端子はケース下部(底面)です。
補足
RPi4は初期のロットでUSB Type-C端子のUSB-PD仕様がおかしい(E-Marker付きのケーブルを使うと通電できない)というバグがあったようですが、去年の11月あたりのロットからこの不具合は修正されているはずで、RAMが8GBのモデルは確実にその後の生産のため、この不具合は起こらない認識です。詳細はこの後のOS導入後に確認します。
ケース選びから購入、手元に届くまでの期間が長いという弊害はありましたが総じて大きな不満はなく組み上げまで終わりました。ガッツリ使い倒します。
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- 64bit CPUの為、メモリアドレスの上限は4GBよりも遥かに広いです [return]
- もっとも、Intelの公開するデータシートではAtom x5-Z8350の最大RAMが2GBと記載されているのにAtom x5-Z8350を採用する情熱価格のNANOTEは搭載RAMが4GBだったりするので、最大メモリ量がデータシートと一致しないのが普通なのかIntelが半導体産業では異端のルーズな体質なのかは判断が付きにくいところです [return]
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