WindowsがNGでLinuxがOK。WIMAXITのM1331CとHIQUITYのUSB Type-Cケーブルを買ったのでレビュー(後編)

Posted by 雅楽斎 on Wednesday, December 18, 2019

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WIMAXITというメーカーのUSB Type-C接続のモニターを買ったのでレビューしたもののType-Cで映像出力できるPCを持っていない上に既に手元に届いている予定のCHUWI Minibookが未だに発送されていない状態で書いたこのレビューの前編はこちら

WIMAXITのM1331Cとスマホ2台置き対応アルミ製スタンド DN-915848を買ったのでレビュー(前編)

USB Type-CのDisplayPort Alternate Modeに対応した機器としてCHUWIのMinibookが届きましたので、WIMAXITのモバイルモニターに出力できるか確認しました。その周辺についてもさらっと紹介しながら確認結果を記載します。

USBのAlternate ModeとDisplayPort Alternate Mode(DP Alt)

USB 3.1 Gen1(USB3.0)ではデータ信号線を別の規格ポートとして動作させるAlternate Modeがあり、以下のような信号伝送が可能になりました。

  • Thunderbolt 3(Intel)
  • MHL Alternative Mode(MHL)
  • HDMI Alternate Mode(HDMI Licensing)
  • DisplayPort Alternate Mode(VESA)

これらのAlternate Modeでは(機器が独自に定義した映像信号を送受信するのではなく)該当プロトコルの信号を流すため、ソフトウェアでの対応が必要ありません。この中でDisplayPort Alternate Mode対応機器を使用した場合はUSB Type-Cケーブルを使用して映像の伝送が可能です。

確認結果

結果だけをまとめるとこうなりました。使用したPCはCHUWIのMinibookです。

CHUWI Minibookレビュー(外観編)

OS映像出力モニター→PCへの給電PC→モニターへの給電
Windows10○?
Linux(Ubuntu MATE 19.10)
ケーブル映像伝送モニター給電備考
Xiaomi Mi A3付属ケーブル
小米 USB type-c to type-c 傳輸線 150cm
WIMAXIT M1331C付属ケーブルノイズが多い
HIQUITY USB Type-Cケーブル(3A)Amazonで購入
↑(5A)Amazonで購入

OSごとの結果から見ていきます。

Windows10(1909/November 2019 Update)

正直言ってまさかの展開です。写りませんでした。

<できたこと>

  • PCからType-Cケーブルでモニターへの給電(おそらく)
  • OSから外部ディスプレイの識別
  • モニターが(PCではない)外部給電の場合、モニターへ接続しているType-Cケーブルを使ってのPCの充電

<できなかったこと>

  • モニターへの映像出力

映像出力可能なType-CケーブルでMinibookとM1331Cを接続したところ、M1331Cは電源投入時と同じ動作となり「信号なし」→黒画面となりました。一方PC側ではディスプレイとして外部ディスプレイを認識しており、おそらくWindows的には映像出力をしているつもりの動作に見えます。興味深い結果です。

一方でM1331Cを外部給電で動作させた場合にはそのあまりの電力をおこぼれで受け取ってMinibookの充電に回すという動作は確認できました。仕様ではM1331Cの消費電力は最大で10Wなので、元の電力から10Wを引いた電力がPCに届いているものと推測します。

Ubuntu MATE 19.10

こちらはWindows10とは違い、想像した通りの動作が全てできました。

<できたこと>

  • モニターへの映像出力
  • PCからType-Cケーブルでモニターへの給電
  • OSから外部ディスプレイの識別
  • モニターが(PCではない)外部給電の場合、モニターへ接続しているType-Cケーブルを使ってのPCの充電

なぜか外部モニターと描画領域が少しだけ重複しているデフォルト設定ですが、ずらすことで並べることができます、

こちらもモニターの外部給電からのおこぼれで充電することが可能です。

また、Minibookのバッテリーからの電力でM1331Cを動作することも問題ありません(電池の減りは早くなるはずです)。短時間の作業であれば電源接続は不要ですね。

ディスプレイの各種設定

主に備忘録を兼ねてM1331Cの設定方法を書き記します。

本体左側面にある5個のボタン「INPUT」「MENU」「+」「-」「POWER」がありますが、基本入力信号がなくなるとすぐ暗くなるのでPOWERはあまり使うことがないと思います。1

「MENU」ボタンでメニューを表示、設定したい項目に入るには、まず対象を固定するためにもう一度「MENU」、さらに固定した項目の選択中の項目に入るのにもう一度「MENU」を押して、+と-で値を設定します。多少わかりにくいです。また、抜けるためのボタンは「INPUT」になっています。

使用したUSB Type-Cケーブル

上記の表に記載しましたが、使用するケーブルで結果に差があります。

Alternate Modeを使用する場合は、ケーブルがE-Markerと呼ばれる認識用チップが組み込まれている必要があり、今回(映像伝送に)使えなかった以下のケーブルはこのE-Markerを内蔵していなかったと考えられます。

  • Xiaomi Mi A3付属ケーブル
  • 小米 USB type-c to type-c 傳輸線 150cm

また、使用した場合になぜかM1331Cに頻繁にノイズが乗るため、以下のケーブルは△としました。動作確認には使えますが、常用するのは難しいかもしれません。

  • WIMAXIT M1331C付属ケーブル

というわけで、9月に買っておいた以下のケーブルが今回試した中では映像伝送もできて最優秀という結果になりました。あまりレビュー記事が載っていないけども、モノは悪くないと思います。参考まで、Amazonのリンクとともに紹介します。

2本のケーブルはどちらも長さ1m、3Aと5Aで仕様上は違いがありますが、5A対応ケーブルではUSB-PDの仕様上最大となる100Wも大丈夫なので将来的にも使いみちは残るのではないかと思います。

補足1 Windows10だと写らない理由

今回Windows10だけモニター出力できなかった理由として考えられるのはMinibookが採用しているIntelのUHD Graphics 615のWindowsドライバがおかしいくらいしか検討がつかないです。ただし、少し調べた限りでは同じGPUを使っている環境でType-C接続のモニターが使えなかったという情報も見当たらず。なんとも言えませんがLinuxで使えてしまったのでPCが壊れてるわけでもなさそうというところ。USB制御チップも関係あるんでしょうか。

補足2 USBの呼称と転送レートについて

USB3.0以降、呼称と転送レートが素人目にはさっぱりわからなくなっています。

USB 3.0

  • 5Gbps SuperSpeed

USB 3.1

  • Gen1 5Gbps←USB3.0のこと←SuperSpeed
  • Gen2 10Gbps SuperSpeedPlus

USB 3.2

  • Gen1x1 5Gbps←USB3.1 Gen1のことUSB3.0のこと←SuperSpeed
  • Gen1x2 10Gbps←SuperSpeedPlus
  • Gen2x1 10Gbps←USB3.1 Gen2のこと←SuperSpeedPlus
  • Gen2x2 20Gpbs←SuperSpeedPlus

Gen1x2と2x2の【x2】は2レーンであることを表し、x1の最大ケーブル長1mに対してx2は最大ケーブル長が2mになる。

USB4

  • Gen3x1 20Gbps
  • Gen3x2 40Gbps

1レーンが20Gbpsとなる。

補足3 DisplayPortの仕様について

補足2と関連します。

DisplayPortはVESAが定める規格で、元々VGA(アナログ)→DVI(アナログ/デジタル)→DisplayPort(デジタル)の系譜にあるものです。

その仕様(伝送レート)については規格のアップデートとともに高速化していきますが、それぞれのバージョンと伝送レート、参考解像度についてまとめると、

  • DP1.0 RBR 1.62Gbps 1920x1080
  • DP1.0 HBR 2.7Gbps 2560x1600
  • DP1.2 HBR2 5.4Gbps 4Kx2K
  • DP1.3 / 1.4 HBR3 8.1Gbps 5Kx3K 8Kx4K

このようになっています。DP AltはUSB3.1 Gen2として書かれますが、フルHDの伝送に限って言えば転送レートはUSB 3.0でも足りることになります。いわゆる4K伝送を実現するために必要なUSBの規格がUSB3.1 Gen2以降となります。

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  1. 入力のType-Cケーブルを抜けばいいだけでもあるので [return]

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