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楽天モバイルMNOサービス概要
3月3日、楽天が自社回線1で提供する携帯電話サービス(以降、「楽天MNO」と記載します)の詳細が発表されました。サービス開始日は2020年4月8日です。
料金プランは「Rakuten UN-LIMIT」のみ
料金プランは「Rakuten UN-LIMIT」のみ。サービス内容もすっぱり割り切っているので、検討する人が「月にどのくらい通信するからこのプランで…〇〇円かぁ」と比較検討する手間がないのは好感が持てますね。
Rakuten UN-LIMITの詳細は以下の通りです。
プラン料金 | 2980円/月(税別) |
国内データ通信(楽天回線エリア) | 完全データ使い放題 |
国内データ通信(パートナーエリア) | データ容量2GB |
海外(66カ国・地域) | データ容量2GB |
Rakuten Link(国内通話) | 通話かけ放題(楽天回線エリア・パートナーエリアとも) |
Rakuten Link(海外通話) | 海外→国内通話 かけ放題 国内/海外→海外通話 980円/月 |
Rakuten Link(SMS) | 国内・海外使い放題 |
事務手数料 | 3300円(税込) |
SPU | 楽天スーパーポイントアッププログラム+1倍 |
例外的に現行MVNO利用者向けに同等プランを提供
- 2019年9月以前にスーパーホーダイ又は組み合わせプランを契約して現在も利用中
という条件を満たした場合、同等の内容でMNO回線を利用できるようになります。移行ができるようになるのは夏頃とのこと。
ただし、楽天MVNOサービスはドコモ回線、au回線で提供しているため、楽天回線のサービスエリアが広がるまではMVNOのままの方が良いと思います(個人的にはスーパーホーダイの通信速度が1Mbps出ている感触がないのでどうしたもんかなと思っています)。
先着300万人は1年間の利用料金が無料になるキャンペーンを実施
事務手数料3300円(税込)のみで契約できるはずなので、楽天回線エリア内であればお得なキャンペーンだと思います。300万人に達するのかという点ですが、すぐには達しないのではないでしょうか。2
Rakuten Linkアプリの使用で国内通話かけ放題、RCS準拠メッセージ送信が可能
通話料金についてはRakuten Linkアプリからの通話を行うことで国内通話がかけ放題となっています。Rakuten Linkを使用しない場合の料金は30秒20円となっているため、プレフィックスを付与して自社回線網を使用するタイプのVoIPと同じ方式を取っているものと推測しています。
また、Rakuten LinkアプリはWiFi経由でもMSISDN宛にメッセージを送れるRCSにも対応しています。通話とメッセージング対応アプリですね。
楽天モバイルMNOサービス対応端末
楽天は自社回線への移行として、案内ページに対応製品を掲載しています。
SHARP
- AQUOS zero SH-M10
- AQUOS R2 compact SH-M09
- AQUOS sense2 SH-M08
- AQUOS sense plus SH-M07
- AQUOS R compact SH-M06
- AQUOS sense lite SH-M05
HUAWEI
- HUAWEI P30 lite
- HUAWEI nova lite 3 ※ ビルド番号のカッコ内の最初の4桁が「C635」の製品が、自社回線に対応します。ビルド番号:x.x.x.xxx(C635xxxxxxx)
OPPO
NEC(ルータ)
このページの下に「その他の製品につきましては非対応となります」と記載がありますが、既にスタートしている無料サポータープログラムでは事業者としてIMEI縛りをしているということはなく、単に動作検証をしていないということの様です。
楽天モバイルです。無料サポータープログラムにお申し込み頂き誠にありがとうございました。ブログ記事を拝見し訂正頂きたい箇所がございます。弊社はSIMロックやIMEI制限を一切行なっておりません。(1/2)
— 楽天モバイル (@Rakuten_Mobile) October 13, 2019
使用できるスマホの条件(LTE Band3/auローミングはLTE Band18/26)
これを踏襲して、実際に利用できる端末に制限をかけていないと仮定した上で楽天MNO(自社回線)ではどのような端末で使うことができそうなのか見ていくと、
※PDF( https://www.soumu.go.jp/main_content/000544012.pdf )より抜粋
楽天モバイルネットワーク株式会社は1.7GHz帯の「1730~1750MHz(上り)、1825~1845MHz(下り)」の周波数帯でサービス(FDD-LTE)を展開できます。
3GPPの公開している36.101という仕様で周波数帯とBandが定義されています。
1.7GHz帯3は世界共通で使用されるBand3として定義されているため、現在販売されている多くのスマホで利用可能です。どちらかというと、Band3は海外で販売されているスマホで多くサポートされています4。
楽天MNO回線を補完するauのローミング周波数帯
楽天MNOのサービスは当面エリアを補完するため、ローミングでau回線も使用するサービスとなっています。
楽天モバイル株式会社サービスへのローミング提供について | 公開情報 | KDDI株式会社
このauが楽天モバイルへ提供する周波数帯は800MHz帯(Band18/26)なので、LTEでBand18または26をサポートするスマホであれば、auのローミングでも使えるということになります。
日本で販売されているスマホで考えると、確実なのは
- auから発売されるモデル
- UQモバイルから発売されるモデル
- SIMフリーとしてau回線対応が謳われるモデル(多くはUQモバイルで扱いあり)
- ドコモのFOMAプラスエリア(Band19)に対応するついでに隣接周波数帯であるBand18に対応するモデル(不確実)
これ以外になるとサポートが少なくなります。基本的に海外で販売されるスマホは(iPhone以外は)対応することは少ないかと思います。
iPhoneは公式サポート外
で、日本でかなりシェアが高いiPhoneでは使えるのかというと、原則的に使えるけど公式サポートがないという状況になりそうです。
無料サポータープログラムで提供されるSIMをiPhoneに挿せば使えるという情報はインターネット上で複数見つかるので使えることは使えるということだとは思いますが、SMSや音声通話で使用することが前提となっているRakuten Linkが現状Android対応のみになっていることもあり、現段階では楽天MNO回線をiPhoneで使うのはオススメできる選択肢ではないかもしれません。通信のみであれば使えるようです。
なので、楽天モバイルで販売されているモデルを素直に買うのが良いかもしれません。
(補足) 6月開始予定の5Gサービスの周波数帯について(n77、n257)
今の段階ではサービスも開始していませんが、5Gサービス用の周波数についても触れます。
※PDF( https://www.soumu.go.jp/main_content/000613734.pdf )より抜粋
5G周波数帯は3GPPの38.101-1で定義されていて、今回日本の5Gサービスに4社に割り当てられた周波数はn77(3300~4200MHz)/n78(3300~3800)、ドコモに割り当てられたn79(4400~5000MHz)、4社に割り当てられたn257(26.50~29.50GHz)でサービスを提供することとなっています。5Gサービスの利用を視野に入れる場合は5Gの対応バンドも注目したいですね。
今の時点でわかっているデメリット
(通信し放題になる)エリアが圧倒的に狭い
3/4時点での楽天MNO回線のサービスエリアです。
東京、名古屋、大阪がエリアであることは発表済みですが、この画像の中の【濃いピンク】が楽天回線エリア、【薄いピンク】がパートナーエリア(au)となっており、通信し放題なのは濃いピンクのみとなります。パートナーエリアは月2GBまで高速通信、2GBを超えると月末まで128kbps、1GB毎に500円で速度制限解除となります。
使う場所がこのピンクに収まっていれば文句なくオススメと言えますが、大抵の場合に使う場所になるであろう自宅と勤務先のどちらかがここから漏れるようだとその魅力は半減、エリアが拡充されるまではいわゆるサブ回線としての運用となるかと思います。それぞれのエリアをもうちょっと詳しく見てみます。
東京エリアはエリアの西側が吉祥寺あたりまで、三鷹駅は駅の周りのみ。調布駅がギリギリでエリアに入っていません。
名古屋は名古屋市はカバーできているように見えます。土地勘がほぼゼロなので詳細は触れられませんが…
大阪エリアは大阪と神戸はこちら。大阪は大阪市、東大阪市が実質カバーされているエリア、八尾市、堺市は一部という感じでしょうか。
京都は面積こそ狭いですが、飛び地で利用可能な場所があるようです。
現状ローミングと併用という最大のネック
とてもではないですが、利用可能エリアを考えると相当都会に住んでいて都会から出ないという人にしかオススメできません。それでもビル群や地下等も1.7GHz帯だけでは賄うのが難しいと思われるので、メインとして使うには時期尚早であると判断せざるを得ません。また、ローミングとして利用するauのBand18もauの他のBand(1/11/28/41/42)と組み合わせてのエリア展開であるため、組み合わせたところでauのエリアにも敵わないことが目に見えています。
しかも、auへのローミングは通信が別料金なので、それは月額2980円にプラスしてのしかかってくることになります。
結果、当面は新しもの好き向けへのサービスになってしまう可能性が高いです。
ローミング仕様が分かりづらいので、毎月の2GBは普通に使うとすぐに達してしまいそう
ローミングは元々キャリアがサービスを提供していない海外へ行く際に提携する海外のキャリアへ接続することで通話や通信をできるように利用されていた仕組みです。5
デュアルSIMの場合はユーザーがどちらのSIMを使うか接続先を選ぶことができますが、今回のローミングの場合は楽天のIMSIでauの基地局につなぐことになるため、ユーザーからはauの基地局につながっていることがわからないのが現状の仕様のようです。
楽天MNOとauのどちらにつながっているかわからないまま通信を行った場合は月間2GBに割と早く達することになると思われるため、そうすると必然的にauエリアで低速通信で過ごすか1GB500円を追加で払うかになります。
MyRakutenアプリでどちらの基地局へ接続しているかの表示はできるようですが、せめてauエリアでの低速・高速通信の切り替えがユーザーからできればなぁと思います。ただこれはこれでローミング先との交渉もあるでしょうし難しいのではないかと推測します。
唯一ローミングで得する可能性があるとすれば、以下の2点になるかと思います。通話専用なら良いと思います(Rakuten Linkの通話がタイムラグ等含めて快適であるという条件が付きますが)
- auローミング状態でもRakuten Linkでの国内通話は無制限でかけ放題
- 海外から国内への通話がRakuten Linkでかけ放題
衛星通信ネットワークの可能性が未知数
米国の衛星通信会社へ出資して、資本業務提携と結ぶというリリースが出ています。
発想自体は素晴らしいですし、うまく行けば空が見える場所なら使えるはずなのでエリアの空白地帯も相当なくなると思いますが、これを読んで気になるのは唯一つ。
サービス開始時期に全く触れていないこと
です。出資して活動にコミットするのは歓迎すべき流れですが、いつからサービスを利用できるのかを早めに発表してもらいたいところです。
5Gサービスについての案内がない
2020年6月に5Gサービスを開始する予定ですが、5Gサービスに対する案内が何もありません。喫緊で利用する人は少ないかもしれませんが心配ではあります。
結果:楽天MNOのエリアで行動する、国内Androidユーザーで国内への通話を沢山する人にだけはオススメ
もの凄く狭い人にしかオススメできない結果となってしまいました。幸いにも私は自宅がエリア内なので、1年無料で使ってみて1年後にどうするか決めたいと思います。
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- 当面は一部ローミング接続あり [return]
- 2019年11月時点で楽天MVNOの回線数が220万です。 [return]
- 1.8GHzにもかかっているので1.8GHz帯とも呼ばれます [return]
- かつて日本でBand3の周波数を保持していたのはソフトバンク(イーモバイル由来)とドコモ(東名阪バンド)のみだったため、ごく一部のau端末ではSIMロック解除できても仕様として使えません。確認はこちらから。 https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/simcard/unlock/compatible_network/ [return]
- かつてイ―モバイルのサービス開始時にはドコモ網へローミングしていましたし、ソフトバンクがイーモバイルを買収した後はイーモバイル網へローミングしていたこともありました。 [return]
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