後継機種が出なくなってしまったNECのデュアルSIMモバイルルーター Aterm MR05LNを今更レビュー。その魅力を探る

Posted by 雅楽斎 on Monday, July 29, 2019

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デュアルSIMモバイルルーターの系譜

海外ではたまに見かける複数SIMのモバイルルーターですが、日本ではNECがAterm MR01LNから展開しているシリーズのうち、MR04LNからデュアルSIMとなりました。その後、MR05LNの後はHT100LN1、MP01LNとSIM1枚のモバイルルーターを発売しているため、今後もデュアルSIMのモバイルルーターは発売しないのではないかと推測しています。

そもそもSIMが2枚になると何が嬉しいのか

日本の携帯電話とSIMの関係

日本では第二世代携帯電話2として世界で採用されたGSMではなくPDCが使われました。GSMではSIMカードに電話番号を紐づけて端末を交換しても差し替えることで機種変更や日常的に使う端末を用途に応じて変更するという事が日常的に行われていました3。一方でPDCでは契約情報を端末に書き込むため、機種変更は携帯電話ショップに行き、手続きを行う必要がありました。第三世代の携帯電話として、NTTドコモとJ-フォンはW-CDMA方式、KDDI(・旧ツーカー)はCDMA2000を採用しました。W-CDMAはGSMと同様のSIM機である一方、CDMA2000はPDCと同様に契約情報を携帯電話端末に直接書き込むROM機と言われる形式を採用しています4。また、余談ですがCDMA2000自体がROM機でなければならないということはなく、海外のCDMA2000採用携帯電話キャリアの中には当初からSIMカードを使用していたところもあります。

日本で並行して続いてきたSIM機、ROM機の区分は全てのキャリアが3.9世代となるLTEを採用したことでSIM機に一本化されました。

デュアルSIM携帯電話

現在も検索結果として見つかる最も古いデュアルSIM携帯電話として、台湾のE-TENが発売したWindows Mobile機であるGlofiish DX900が2008年12月に発売されています。

デュアルSIMがありがたがられる背景としては、通話が高い携帯電話キャリアとの契約を残したまま通話の安いキャリアのSIMを通話専用として使いたい、但し昔使っていた電話番号もSMS用として残しておきたい。或いはSMSはプリペイド契約したSIMで送受信したいなどあまり日本では考えられることのなかった理由から、海外ではデュアルSIMの携帯電話は使われてきました。

私の場合

現在私は自宅のインターネット環境を固定回線ではなくFUJI Wi-Fiで運用しています。但し、FUJI Wi-Fiには低速制限というモードがなく、全ての通信を全力で行うため、意図しないバックグラウンドの通信が行われた場合に翌月まで超低速でしのがなければならないリスクが常にあります。

そして、そのような場合のバックアップ用として1Mbpsで昼以外は通信制限がない楽天モバイルのスーパーホーダイも契約しています。意図しないバックグラウンドの通信はできるだけ夜中にこっちに回すことで、高速通信はFUJI WiFiで行いたい5。ですので、私の場合はデュアルSIMのモバイルルーターが一番適しているという状況です。外でも高速に使えますし。

Aterm MR04LNとMR05LNのスペック比較

NECのデュアルSIMモバイルルーターであるAterm MR04LNとMR05LNを比較した表は以下の通りです。

MR04LNMR05LN相違点
発売年2015年2016年
LTEバンド1/3/8/11/18/19/21/171/3/8/11/18/19/21MR05LNではバンド17が削られる
HSPA+バンド1/8/9なしMR05LNでは受信最大21MbpsのHSPA+が省略
HSPAバンド1/6/8/9/19/51/6/8/19/5MR05LNではバンド9が削られる
WCDMAバンド1/6/8/9/19/51/6/8/19/5MR05LNではバンド9が削られる
GPRSバンドGSM850、EGSM900、DCS1800、PCS1900なしMR05LNではGPRSが省略。海外で使う場合は留意する必要あり
WAN側無線LANIEEE802.11ac、802.11n、802.11a、802.11b、802.11gIEEE802.11ac、802.11n、802.11a、802.11b、802.11g
LAN側無線LANIEEE802.11ac、802.11n、802.11a、802.11b、802.11gIEEE802.11ac、802.11n、802.11a、802.11b、802.11g
BluetoothPAN(PAN-NAP対応)PAN(PAN-NAP対応)仕様欄には書かれていないがMR04LNはDUNにも対応
USBポートMicroUSB-BMicroUSB-B
SIMスロットmicroSIM(3FF)×2nanoSIM(4FF)×2MR05LNはnanoSIM
連続通信時間Wi-Fiテザリング時約12時間、Bluetoothテザリング時約24時間Wi-Fiテザリング時約14時間、Bluetoothテザリング時約30時間
外形寸法約63(W) × 111(D) × 11(H)mm約63(W) × 115(D) × 11(H)mmMR05LNの方が長辺が4mm長い
電池充電池パック(リチウムイオン電池)2,300mAh充電池パック(リチウムイオン電池)2,500mAh(着脱式)MR05LNの方が200mAh大きい
質量約111g(本体のみ)約115g(本体のみ)MR05LNの方が4g重い
クレードルMR04LN専用クレードル(EX4Cクレードル) PA-MR04L-EX4CMR05LN専用クレードル(EX5Cクレードル) PA-MR05L-EX5C
バッテリーAL1-003988AL1-004806
キャリアアグリゲーション2CA3CA

スペック以外の比較(実物)

それでは実物を見ていきましょう。左がMR05LN、右がMR04LNです。

外観1

右のMR04LNはSIMが刺さった状態で、色を緑に変更しています。多少レイアウトが違いますね。高さも4mm違います。

外観2

必要かどうかといわれると恐らく不要ですが側面です。右側面には電源ボタン、左側面にはUSBポートがあります。電源ボタンはMR05LNは少しだけ本体から飛び出るようになっています。MR04LNはフラットになっていて、手で触った場合にMR05LNの方が位置がわかりやすくなっています。

外観3

裏面は一番違います。MR05LNはいわゆるツルテカ、MR04LNはシボ加工になっています。ツルテカだと傷が目立つので個人的にはあまり好きではないんですがモバイルルーターであることを考えるとかなりどうでもいいところでもあります。

外観4

裏蓋を開けたところです。特徴的なところとしては電池パックに互換性がありません。端子の位置も違うので流用は不可能です。SIMはMR05LNがnanoSIM、MR04LNはmicroSIMですが、MR04LNはnanoSIMにアダプターを付けて使うとちょうど引っ掛かる場所に逆向きに爪があるので、私は壊しませんでしたが壊れそうな作りになっています。

殊更強調されないが実はできるようになっていること

実は当初MR04LNを購入して、できると思っていたものの実際にはできなかったこととして、「WebからのSIM切り替え」があります。というのも、SIM切り替え自体はMR04LNでもできるんですが本体のタッチパネルからしかできず、やる場合には本体のところまで行っての操作が必要です。これがMR05LNではWebブラウザからの操作でできるようになりました。

左がMR05LN、右がMR04LNで、SIMはMR04LNに2枚刺した状態です。

設定画面のトップ

Web設定画面から下にスクロールしていくと…

SIM設定

MR05LNにはSIM設定があります。

SIM設定詳細

詳細設定からSIM設定に入り、使いたいSIMに対して「SIM1固定」または「SIM2固定」を選択して反映すれば選んだ方のSIMが有効になります。

MR04LNでは本体のタッチパネルを操作しないといけなかったので、2枚のSIMを切り替えることがブラウザからできるようになったことは個人的にとても大きいです。

モバイルルーターのクレードルについて

NEC(に限らず)の歴代のモバイルルーターは過去の機種とクレードルを兼用できないようにしていることがほとんどです6。MR05LNでもUSB端子はMicroUSB-Bで仕様がMR04LNから変わっていないにも関わらず、サイズの違い、USB端子の位置のわずかな違いがあり、専用クレードルが発売されました。

但し、有線LANをそなえたクレードルは結論から言ってしまうとMicroUSBの5本のpinを全て結線していれば使えます。NECとHUAWEIで同じ方法で実現できています。どういうことかというと、クレードルのMicroUSBオス端子から任意のモバイルルーターのMicroUSBメス端子までを延長ケーブルを経由して繋ぐことで、「クレードルに刺さらない」を回避しながら機能性を損なわずに(有線LAN端子の付いた)任意のクレードルを使うことができます7。ポートを変換する際にOTGケーブルを使ってUSB Type-Aメス、オスを経由する方法を使っても見た目は延長できますがUSB Type-Aはpinが4本しかなく、ダメだと思います。

我が家ではMR05LNをMR03LNのクレードルで使っています8。MR04LNでも同様にMR03LNのクレードルを使用していました。延長ケーブルは変換名人のmicroUSB→microUSB 延長ケーブル(フル結線/90cm)を使っています。

まとめ

SIMサイズ以外では表面上の違いはあまりないように見えますが、細かいところでの違いのある2モデルを比較しました。5G時代になると些細なパケット通信料の卸価格を各IXが値下げする期待をしています。もしそうなればデュアルSIMでのデータ通信についての需要も変わるのかもしれませんがまた後継モデルを出してほしいですね。

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  1. 持ち運べますが基本的には宅内運用モデル [return]
  2. 第一世代はアナログ携帯電話とされています。それに対して第二世代はデジタル携帯電話を指します。 [return]
  3. いわゆるSIM機 [return]
  4. のちにCDMA 1x WIN導入を契機にau ICカードとしてSIMカードに契約を書き込むように変更しています [return]
  5. Windows Update、スマホのアプリ更新、aptの更新 [return]
  6. おそらく原価率がめちゃめちゃ低い(利益率がめちゃくちゃ高い) [return]
  7. 見た目は不格好になりますが [return]
  8. もともとTry WiMAXでNAD11を借りた時にNAD11のクレードルが高かった為にMR03LNのクレードルを買って流用した時のクレードルです [return]

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